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作者 けしば誠一・新城せつこ
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2009/07/28 火曜日 00:00:00 JST |
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7月27日文教委員会で委員外議員の発言
扶桑社版・自由社版歴史教科書の不採択を
教育委員会で、8月12日に区立中学の教科書採択を行うことが発表されながら、この日、報告事項から、教科書採択事務の経過報告が、外されていました。報告された「昨年度の区立学校の第3者診断」と「区立幼稚園の廃止と子供園」について、委員議員の発言を求め、その中で報告のないことを批判し、扶桑社版、自由社版に厳正な判断を求めました。
昨年度行われた区立学校第3者診断について意見を述べます。この診断がどのような目的で、何を基準に、どのような教育を目指して診断されているかという点です。
第1に、診断委員の人選が問題です。筆頭に上げられた小松郁夫氏は、師範館理事長であり、「教育基本条例等に関する懇談会」の会長として、懇談会提言の起草をした方です。国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長として、学校評価制度の導入を国に勧めてきた第一人者です。教育基本条例の内容は、公共心を伸ばすことや、郷土愛をはぐくむ施策の充実などを提唱し、改定教育基本法の愛国心教育と国家のための人づくりを求めるものでした。そのあまりの古色蒼然たる提言の内容には、全会派から批判がなされ、事実上その思想を否定された人物です。なぜこの人に学校を評価させるのでしょうか。
小松郁夫氏が勤める玉川大学から5名が委員に、また国士舘大学、上越教育大学など国家主義的教育を推進する大学からの人選となっており、学校評価の視点が一面的にならざるをえない人選であり、区長の目指す学校の姿が浮かび上がるものです。
第2に、施策のめざす方向は、安倍政権下で進められた「教育改革」であり、改定教育基本法の求める方向性です。その手本となったのは、イギリス・サッチャー「教育改革」です。その方向は、1)大英帝国の植民地政策を批判的に取り上げる歴史教育を「自虐史観の偏向教育」として「是正」する、2)現場の自主性尊重を否定し、全国国定カリキュラムを作成する、3)全国共通学力テストを実施して学校別の評価を公表し序列化する、4)女王直属の学校査察機関が5千人以上の査察官を全国に派遣し、国のカリキュラム通りに教育がおこなわれているかどうかを徹底的にチェックしてきました。その結果、水準に達していない学校には懲罰を加え、容赦なく切り捨て・廃校にしてきました。
安倍内閣は、このイギリス型「教育改革」を模範として、全国的な学力テストの実施とその結果の公表、学校評価制度や学校選択制の導入などの方向を打ち出し進めようとしました。しかし、それらの試みはすでにイギリスでは破綻し、学校教育のゆがみに対して、教育制度の修正に向かっています。ウェールズでは全国共通学力テストが全廃されています。山田区長は、こうして欧米では破綻した制度を導入し、杉並の教育に競争原理を導入し、第3者ならぬ山田区長が選んだ人物で評価を加え、従わない教員と学校を是正しようというのです。
第3に、第3者評価こそそのイギリスで破たんした「教育改革」の推進力であったことです。メージャー保守党政権下の1992年、教育基準局が設置され、新しい評価(査察)のシステムが始まりました。学校評価(査察)は、普通のセカンダリー・スクールでは延べ人数にして60人、例えば6人で10日間を費やす大掛かりなものでした。これは教師達にとっては大変きついものであり、これで低い点数をつけられたベテラン教師が自殺した例もあると新聞は報じています。評価を行う査察官は絶大な権力を持っており、数人のグループで学校を訪れ、授業を中断させて教師を質問責めにしたり、詳細な授業計画の提出を要求します。すべての教師への面接も行い、短期間に膨大な報告書を作り公表します。「失敗」の評価を受けると、特別の監視付きということになりました。これをまねたのが第3者評価システムです。
そもそも学校や教育の評価を、診断シートなどの一定の基準で数値化し、教育専門機関でもない監査法人などで判断できるものではありません。教育行政の役割は、教育環境を整えることであり、教育の内容に行政が介入したり、一定の基準で評価を加えその型にはまらぬものを是正させるなど、教育にあってはならないことです。教育活動の充実は、教員が子どもと向き合う時間を保証することです。教員にとって第3者の評価を意識し、子どもと接する時間より報告などでパソコンに向かう時間が増えるばかりで、百害あって一利なし、子どもにしわ寄せが起きるばかりです。
また、知力重視の教育評価制度は、教育の低年齢化を招きます。イギリスでは、教育法では義務教育の開始は「五歳の誕生日の次の学期から」と規定されているそうですが、実際には子どもたちは一年生になる前の四歳から就学し、教室で読み書きや計算を習うといいます。これは、就学前の幼児教育を目指す、幼稚園の廃止と子供園につながるものです。杉並独自の施策といわれていますが、国の認定子ども園にしたがうものです。杉並だけ子供園の「ども」が人偏の供になっている理由を後でお聞かせください。
最後に、第3者評価が「つくる会」教科書の歴史教育を評価することになります。現場では、使えない教科書を様々な努力でフォローしています。これをどのように評価するのでしょうか。本日その採択事務の報告がありません。扶桑社や「つくる会」の分裂などの状況変化に、採択の現状や経過を報告すべきです。版権が係争中であり出版を取りやめた扶桑社版、巻末で、「9条は賞味期限が切れた」という論文を載せ、憲法を否定することは、学習指導要領にさえ反する自由社版、に教育委員会の厳正な判断を求め意見とします。 |