杉並区民ニュース 2009年8月11日 号外
作者 けしば誠一・新城せつこ   
2009/08/11 火曜日 15:29:32 JST

12日は11時半区役所前集会→1時教育委傍聴受付→2時開会

「つくる会」教科書(扶桑社・自由社)の採択をとめよう

使いにくく誤りだらけの自由社版!

 横浜市が採択した自由社版『新編新しい歴史教科書』は、扶桑社版と体裁を変えるために、活字を小さくし、特にルビを小さくしたため読みにくく、中学生用教科書として実に使いづらいものです。コラムも説明文の下地が模様つきで着色したため、文字が読みにくくなっています。記述の明らかな誤り、不適切な表現が多く、写真の重複掲載などの検定基準違反がめだちます。

516ヶ所誤記で不合格再申請で136ヶ所訂正させ検定通した文科省

 自由社版「歴史」は、08年度の教科書検定で、文科省が異例にも、年度末を過ぎた4月9日に通したものです。08年の12月には、516ヶ所の誤記が指摘され、不合格に。年度内に再申請で136ヶ所の欠陥が指摘されました。文科省は便宜を図り、その修正を年度末が過ぎても認め、その後も残った歴史事実の誤りに目をつぶり検定を通しました。 当初欠陥ヶ所も、個別に指導すれば641ヵ所になるところ、索引の中に54ヶ所ある誤記を、一ヶ所に数えるなど、数を少なく見せる小細工をしてまで救っているのです。検定審査官のなかに「つくる会」がいることもわかりました。

大日本帝国憲法と昭和天皇を賛美、現憲法を批判する「公民」

 「改訂版新しい公民教科書」の宣伝文書では「自衛隊を正面から取り上げて、その意義を説き」「国防についても正確に記述」「わが国の始まりとともに存在した天皇・皇室の意義を子どもたちにわかりやすく説いています」とあります。「公民」では、大日本帝国憲法の下、天皇主権の国家体制を作り、国民の自由を奪い人権を抑圧したことには触れません。「国民にたたえられた大日本帝国憲法」という資料を掲載し、教育勅語を理想と掲げています。
 現憲法の節では、基本的人権の項目の前に、「憲法改正」の項目をおき、改定の必要性を印象づけます。基本的人権の尊重・主権在民・平和主義の三大原則の説明もなく、憲法の意義を教える事を記した学習指導要領にも違反しています。

特定の教科書編纂団体に加わる大藏委員の扶桑社・自由社採択は違法

 大蔵委員長は、新しい歴史教科書編纂を目的につくられた『教育再生機構』の発起人に名を連ねていたことを質問され、「役員ではないが、会議には参加し発言した」と議会答弁で認めました。教育再生機構へ問い合わせると、「以前役員であったが、今は本人からの申し出で辞めている」とのことです。かつて、扶桑社版歴史や公民を編纂し、その後、組織の分裂から教科書を新たに作るために立ち上げた団体に所属していた者が、教科書の採択に関わることは独占禁止法や地方教育行政の組織運営に関する法律に違反します。現在は、辞めていても理由にはなりません。大藏委員が行う教科書採択は違法です。
    
核武装をすすめる「つくる会」教科書はいらない

 山田区長は、今年の採択を前に、区の平和施策を「拉致被害者家族支援」に転換し、職員に青いリボンの着用を強制しました。さらに、田母神前航空幕僚長の講演会を支え、原水爆禁止運動発祥の地・杉並で「核武装をすべき」とする集会を、採択前日に再び杉並で開かせました。8月6日、広島市での田母神講演会に、広島市長が抗議と変更をうながしたのとは大違いです。
 私たちは、8月6日から7日、広島市と毒ガス製造の島・大久野島(広島県)を視察しました。研究者の説明で、東京裁判では日本軍731部隊の細菌兵器や毒ガスの製造と使用は、裁かれなかった事実を学びました。核兵器と毒ガスの残酷さを体験者の証言と資料から学び、毒ガスなどの非人道的科学兵器と原爆廃絶を誓いました。このような歴史事実を教えることを、「自虐的」と批判し、再び戦争に向かう教科書の採択は認められません。今度こそ、「つくる会」教科書の採択をとめましょう。

自由社版「新編新しい歴史教科書」の歴史事実や記述の誤り

(1)記述の明確な誤り

ⅰ、P25の吉野ヶ里遺跡の写真説明で「大きな壕」とあるのは、「大きな濠」の誤り

ⅱ、P209の本文12行目、沖縄戦の記述で扶桑社の「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し」に続けて、「ついに陸上の戦いも日本の本土に及んだ」と加筆し、重大な事実歪曲→第1に、日本の国土である小笠原諸島の硫黄島での激戦が、2月19日から始まった事実に反する。第2、沖縄戦は3月26日の慶良間諸島上陸から始まり、ここでいわゆる「集団自決」が引き起こされた。これを否定するために、あたかも沖縄戦が4月の読谷上陸から始まったかのように描き、この事実の歪曲を文科省が検定で是正しなかった責任は重い。

ⅲ、P150の右上・地図で、北千島の北端「占守島(しゅむしゅじま)」をその南にある「幌延島(パラムシルじま)のところに表示している誤記

ⅳ、P188の上地図で、アラスカの部分が東西横長に描かれ、この地図の図法はメルカトル図法(またはミラー図法)であるため、縮尺を表示するのは誤り。

(2)記述の不正確・不適切な箇所

ⅴ、P172の右上写真「朝鮮総督府」は、当時の写真ではなく、明らかに戦後のもの。現在は取り壊されている。

ⅵ、P215下写真「東京裁判の法廷」の説明に、「弁護側の証拠や講義は却下されることが多かった」と書かれている。この点で、秦郁夫氏が、千葉大法学部教授時代に却下された証拠を点検し、それらは「無価値ないしは偽証の山」で、「却下は当然であった」との結論を発表している。この説明は読む者に誤解を与える。

ⅶ、P218の右上の写真「冷戦下のアメリカ軍」の説明に、「長距離爆撃機(写真右上のB52)は、グァム島やフィリピンを基地にして北ベトナムを爆撃した」と書かれているが、ベトナム戦争時、沖縄にも常駐し出撃、墜落事故の恐怖が復帰運動の大きな要因であった事実を無視している。

(3)写真の重複掲載などの検定基準違反

ⅷ、口絵P2と本文P11で、相沢さんが岩宿遺跡で最初に発見した旧石器の同じ写真を両方のページで掲載。

ⅸ、本文P23とP24で、登呂遺跡の高床式倉庫(復元)の同じ写真を連続したページで重複掲載。

ⅹ、P222~223の施設項目「83戦前・戦後の昭和の文化」で、本文で「さらに戦後独自の新しい若い作家として三島由紀夫、石原慎太郎などが現れ、新鮮なイメージで人々を惹きつけた」と石原氏に媚を売り、ノーベル賞受賞などの客観的根拠なしに存命の個人を出しているのは検定基準違反。

 

 
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