「つくる会」教科書採択の撤回を求めます
2009/08/14 金曜日 09:16:15 JST

大藏委員長の違法な採択手続きは無効、直ちに撤回を

 8月12日、杉並区教育委員会は、10年度からの中学歴史教科書に、「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した扶桑社版を4対1の多数決で採択しました。中田横浜市長らとともに「つくる会」系政治団体設立を準備している山田区長は、「教育委員会が法律に基づいて、その責任のもと粛々と検討された結果」と白々しくコメント。無所属区民派は、数々の違法な手続きで、戦争賛美の教科書を採択した区教委の責任を追及し、撤回を求めてさらに力を尽くします。

【写真】8月12日採択当日は、区庁舎・青梅街道側に保護者、教員、区職員、在日韓国人など他数が集い、様々な立場からアピールがなされた。

大藏委員長が編纂に自ら関わる扶桑社歴史採択の違法

 大藏委員長は、ご自身も認めているように、新しい歴史教科書の編纂を目的に立ち上げた「日本教育再生機構(八木秀次理事長)」に参加し、会議では積極的に発言をくりかえしてきました。
 「地方教育行政の組織と運営に関する法律」や「独占禁止法」では、特定の教科書会社に関係する者が、教科書採択にかかわることや、他社の教科書批判を禁じています。
 大藏氏自身が関係する扶桑社版を大藏氏が推薦したこと、他社の教科書を批判したことは違法となるはずです。

談合で決めた結論を集約、実質審議のない採択方法

 当日、区教委は302名の傍聴希望に対し、わずか20名の傍聴席しか用意しませんでした。幸いにも、けしば誠一と新城せつこは抽選に当たり傍聴席で採択過程を目の当たりにできました。冒頭、大藏教育委員長から、「委員が、種目ごとに採択すべきものを選び、配布した表に印をつけ、事務局がそれを集計する」と、採択方法の説明があり、傍聴席からただちに抗議の声をあげました。これは、東京都教育委員会の採択方法をまねたものです。あらかじめ結論を決めておき、集計結果をまとめ、実質的な審議をしない談合そのものです。けしばは、傍聴席から「文教委員会で、小学校教科書を採択したやり方は今回限りとした答弁と違う」と弾劾し、新城が「都教委と同じやりかたをいつ、どこで決めたのか」と追及すると、大藏委員長はあわてて傍聴席の発言を制止しました。

教育長が採択審議の結論を方向づけたのは政治的介入

 国語の審議の冒頭に教育長が立ち、「ここで採択したものは平成22年度から23年の2年間のみ使用。新たに指導要領にもとづいて変更されるのは24年度。その間移行措置期間に、新たな教科書の場合は指導資料などつくる負担がある。2年後には改めて審議するため今回は同じものを継続使用したい。」と審議の結論を方向づける発言をしました。本来、教育長は教育の専門家としてアドバイスすることはあっても、懸案の歴史教科書の採択の結論を導くのは重大な政治的介入です。

合議体である教育委員会に多数決はなじまない

 休憩後、意見の分かれた歴史教科書のみ意見が求められ、安本委員から反対意見が述べられました。「古代から現代まで日本の歴史を、世界との関わりの中で学ぶことが必要。特にアジアとの関係が客観的でわかりやすい」「調査委員会の報告でもおおむね評価が高い」とし、帝国書院をすすめました。扶桑社について、「読み物としてはおもしろいが、原始から古墳時代の分量が多く、戦後史が少ない。人物が多いが、世界の歴史とのかかわりうすい。現場の教員の負担大きい」と反対しました。
 宮坂委員は、「わが国の歴史に愛情と国民としての自覚を促す教科書・・自由社も扶桑社に劣らずすばらしい教科書だが、先生方が使い慣れているので扶桑社」と発言。「検定通過しており、指導要領の変更もなく、先生たちの努力もあるので扶桑社を」と述べた大橋委員には失望しました。PTA役員だという理由で、大橋氏の選任に賛成した議員の責任が問われます。
 ここで教育長が、「どの教科書にも長短があり・・教科書の記述で変わるものではないと思う。教科書の足りないところは補えばよい。現行でもかまわないので扶桑社」と集約しました。山田区長の意を受けて、反対意見を無視し、扶桑社をすすめたのは教育長に期待する区民への裏切りです。反対意見があれば協議をし、次に一致するものを選らぶ合議制の本来のあり方が、4年前から否定されたのです。

委員長の立場をわきまえず他の委員を批判した大藏氏

 教育委員長は、特定の立場に立たず、公平な立場で議論を進めることが役目です。大藏委員長は、「自由社は、代表執筆者が同じで、内容も同じ。2年間については変えないことで異論はないと思う。多数決ということでなく扶桑社で」と全会一致で採択しようとしました。
 そこで、安本委員から「『学習指導要領変わっていないから現行で』という気持ちはわかるが、扶桑社版を補う教師が大変な思いをしている。『異論はない』と、まとめられるのは不服」と発言。これに、大藏氏は委員長の立場を忘れ、「先生方に負担というが、調査委員会資料には書いていない。」と反論。さらに安本委員は、「現場の先生方に聞いたうえでのこと。合議制であるので協議してちがうものに決めたいので、採択には異論ある・・10年前から異論持っている。PTA出身でもあり、先生方は忌憚なく意見いってくれる。これは私の調査である。あえて言うが、扶桑社は反対と付け加えて欲しい」と要望。
 宮坂委員が「先生方が全部反対しているようなこと言っているが、調査委員会報告書では評価されている。・・多数決でいい」と発言。全会一致を装うことができなくなった大藏委員長は、「安本委員は10年前というが、10年前安本さんは『拉致はない』といっていた」と議題と関係のない委員の批判を始める始末。安本委員から「それは公民の時のやりとり。ここでいうのは大人気ない」とたしなめられる有様でした。

大蔵氏は辞職し採択し直せ

 本来、委員長は、委員の意見を尊重し、会議をつつがなく進行させるのが役割です。立場を忘れて声を荒立て、反対意見を無視したのは、自分の関わった教科書を否定されたからに他なりません。これは大藏委員長が、「つくる会」の一員であることを自認したようなものです。
 大藏委員長のもとで行われた歴史教科書の採択は違法であり、その責任を徹底追及します。
 教育委員会は、採択をやりなおすべきです。大藏委員の辞任を改めて求めます。

 
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