10/6 各会計決算に対する意見
2011/10/07 金曜日 16:35:20 JST
10月6日、2011年各会計決算についての無所属区民派の意見開陳に、新城せつこがたちました。
 
   無所属区民派から2010年度決算に対する意見の開陳を行います。
   冒頭、9月30日ご逝去された関昌央議員のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


山田前区政について
   2010年当該年度は山田前区長在任の最後の年であり、途中6月の突然の辞任により区長選が行われ、田中新区政がスタートした年でした。年度末3月11日、東日本大震災に見舞われ、津波と原発事故による未曾有の被害にこれまでのくらしや福祉、まちづくりや防災のあり方が根底から問い直された年でもありました。
   山田前区長は、就任以来、マスコミ受けをねらうパフォーマンスや、新自由主義的施策に、区民生活や教育の面で数々のゆがみをもたらしました。そのしわ寄せは、高齢者や子どもたち、低所得者等社会的弱者に深刻であり、私たちは厳しい指摘をしてきました。
   前区長が自らの政治的野心から突然区長の席を投げ出したことは、区政を根本的に改めるチャンスとなりました。政治家山田宏氏の有力な支えである区内事業者の関係者を後継候補に据えて、区長を辞した後も区政を陰から利用しようとことは、現区長が区長選を決断したことで破産しました。田中区長が就任直後から、前区長の良いところは継承しつつも、独善的区政運営や教育などのゆがみを正すことを表明されたことに区民は大いに期待しました。

田中区政の問題点
   当該年度の予算委員会の我が会派の意見開陳では、予算編成方針に対して2つの問題点を指摘し、反対理由としました。その2つは、すでに国政への転身を志していた山田前区長が、そのために打ち上げた究極のパフォーマンスともいうべき減税自治体と教育憲章です。減税自治体条例については、予算委員会での質疑や、条例に対する反対意見の中で詳しく述べたとおりです。この2つの課題については、反対する会派から激しい議論がなされ、そこで指摘された問題点は、その後の予算執行過程で減税に使う財源がなくなり、時事を持ってうきぼりになりました。
   当該年度の決算審議は、田中区政下で行うこととなり、この2点に関しては是正されたことを、本定例会の一般質問や決算審議の過程で確認できます。
   その上で、予算に対する意見の中で、反対理由として取り上げた点について、田中区政のもとで、是正されたかどうかを検証してみました。



1.区長の政治姿勢
   第1は、区長の政治姿勢です。当該年度、前区長は国政への転身のため新党を結成した後、6月辞任に至るまで区長室を空けることが多くなり、新党の党首として全国を駆けめぐる政治活動に傾注していました。その間の職員の苦労は、今から思えば大変だったと推察できます。就任した田中区長が、まずこうした職員の声に耳を傾けることから始めたことは評価します。
   山田区政下では2009年度まで、原水禁運動発祥の地にふさわしい夏の平和企画が、拉致被害者支援運動に捻じ曲げられ、在日朝鮮人・韓国人に対する差別をあおるものに変えられ、被爆者団体の企画は隅に追いやられました。区長が変わり、当該年度8月の平和企画は8月12日から16日は被爆者団体を中心とする企画・展示がロビーで開催され、18日から22日は区の企画として「核兵器と戦争のない平和な世界」がロビーで展示されました。が、その中には依然として自衛隊のPKOなどが軍事行動が写真で平和のための活動として紹介されているのは問題です。改善を求めます。

2.職員体制のひずみ
   第2に、スマート杉並計画の職員1000人削減計画による職員体制のひずみにどのような対応がなされたかという問題です。田中区長は、前区長の機械的削減を見直し職場の現状を把握しようとはじめました。しかし、そこで取られた対策が非常勤職員の活用です。その結果、2011年度の当初には正規の職員数が不足することが分かり、緊急措置を取らざるを得なくなりました。職員にもたらされている過重労働と病欠の悪循環を断つために正規職員の拡充を求めます。
   1000人職員削減の結果、その穴埋めのために存在する区のパート・嘱託・非常勤職員は2500人を超えています。区の事業の60%を民営化や民間委託としたため、区の施設の受け付けや清掃、管理業務を受託した事業者のもとで働く数千人のパートが年収二百万前後で働いています。官製ワーキングプアと呼ばれるようになったこの労働条件の改善は待ったなしとなっています。入札のたびに委託料が下がれば、事業者は厳しくなり時給を下げざるを得なくなり、その結果はセシオン杉並の賃金未払い事件に至りました。
   その対策として、区はモニタリング制度や事業者現場責任者や利用者代表との面談の機会を設け労働条件などの確認に踏み出しましたが、これだけでは現場の声を把握することは不十分です。野田市、川崎市に続き、全国の自治体に拡大している公契約条例に対し、すでに政府答弁で解決済みの課題を上げて制定を先延ばしにすることは認められません。公契約条例制定に向け積極的な検討を求めるものです。

3.待機児問題
   第3に、前区政で認可保育園の増設を怠り民営化を推し進めてきたため、待機児童問題への対応力が失われ、緊急対策を保育室に頼らざるを得ない状況になりました。杉並区の待機児童数には、区の認可保育園を希望しながら入所できず、やむを得ず8万~12万円の保育料を支払う認可外保育園・ベビーホテル入所を選択せざるを得なかった児童数がカウントされていません。このような経験をもち、現在認可保育園への入所した保護者から、認可外保育園ベビーホテルへの平等な補の拡充が要望されています。平等な補助を求めます。また、今後の基本構想と総合計画で、認可保育園の計画的増設を期待するものです。
   さらに、待機児対策のために区立幼稚園が犠牲となり子供園化がすすめられました。保護者の理解が依然として得られていません。子供園に転換した園の保護者から拙速な進め方や運営のあり方に問題が指摘をされています。経過措置の不十分性や性急な進め方に反対します。子供園に転換した成田西や高円寺北にも高井戸西や西荻北同様、十分な経過措置を拡大するよう求めます。

4.特養の待機者問題
   第4に、前区長が「特養の待機者を1年以内に解消する」と打ち上げながら、特養のベッドが依然として足りず、家族介護に大きな負担を強いています。当該年度Aランクとされた971人が、1年後の見込みでは321人しか対応できないという状況です。特別養護老人ホームの整備は待ったなしです。さらに、度重なる介護保険制度の改悪の中で、区内事業者や介護労働者に厳しい状況を強いていることはこれまで指摘してきました。法制度の抜本的な見直しを国に求めるよう要請します。

5.生活困難者への対応
   第5に、前年に実施された派遣村は、国が財政を支え東京都の実施となり、石原都政の冷たい姿勢に1000人を越す相談者の不満が爆発しました。ボランティア団体の支援を断り民間事業者に委託した結果、その機械的対応で相談窓口はパンクしました。区にも少なからぬ相談がありながら、最後のセーフティネットとしての生活保護の対応は不十分でした。決算委員会で指摘したとおり、受給者にはアパート入居を拒み、エスエスエスなど区内5か所の無料低額宿泊所に丸なげし、貧困ビジネスに利用されている現状の改善を求めます。

6.開発優先の姿勢
   第6に、山田区政のもとで放射五号線と外郭環状道路の事業化が始まり、三井グラウンド問題に示された開発優先の姿勢が、田中区政のもとで是正されたかどうかが問題です。この間の外環や京王線連続立体交差化事業をめぐる区の姿勢は、田中区政の住宅都市杉並に危い一面を感じさせます。B/Cに関する国の資料は埼玉や神奈川の端の山の中の道路まで入れ、意図的に便益をあげている問題点を指摘してきました。区は住民に対する責任を果たすために、国に対し、B/Cの根拠となる詳しい情報の開示と説明を求めるよう強く要請します。
   京王線連続立体化事業は、小田急線高架化に反対した住民運動や、裁判経過、判例などを学ばず、地元利権を優先する高架化で環境への著しい影響をもたらそうとしています。我が会派の委員から震度9として誤って質問してしまいましたが、正確には首都圏直下型地震でマグニチュード9を前提にすれば、首都高速5号線の高架の安全性は保障できないという問題です。甲州街道が震災時の避難路として使えない危険性を考え、京王線地下化による新宿から多摩川までの緑の避難路の実現を期待します。

7.電力購入問題
   第7に、区の電力購入問題です。無所属区民派は原子力発電の危険性と原発に群がる利権の政治を根本から改めるために、東電からの高い電力購入をやめるよう求めてきました。区は年間9億円の電気量を東電に支払いながら、契約により今夏15%節電目標を達成しても同額の電気量を支払います。安い民間事業者から購入すれば大きな財政削減が期待できます。当該年度の区の答弁は「電力の安定的供給」からという理由で東電からの購入姿勢を崩しませんでした。本年3月の東日本大震災と原発事故で原発の安全性神話と電力の安定供給は崩壊しました。東電以外から購入の検討が始まったことを期待します。
   放射能汚染から子どもを守るための区の施策に厳しい指摘をしなければなりません。すでに0.3μシーベルトという高い線量が測定されました。区が、判断を求める専門家に、「放射線安全フォーラム」の顧問である加藤和明氏を登用することに区民や保護者の批判の声があがっています。団体は東電の原子力部長や大成建設の原子力本部長が役員を務める正真正銘の原発推進団体です。子どもの未来と健康を守るために、放射線の危険性に見識のある専門家に変えることを改めて求めておきます。

8.南伊豆健康学園の廃止
   第8は、山田区政下ですらできなかった南伊豆健康学園の廃止について厳しい批判をせざるをえません。当該年度の田中新区政による杉並版事業仕分けで、南伊豆健康学園の廃止が決定されました。私も事業仕分けを傍聴しましたが、現場を知らない無理解さからくる委員の機械的な意見に憤りを感じました。杉並に住む委員からは健康学園の果たしてきた役割や現在の存在の大切さが評価されながら、廃止となった結果には疑問を抱かざるをえませんでした。この突然の方針で、子どもたちや保護者、現場に与えた衝撃の大きさを考えなければなりません。この拙速な決定で、現場が場当たり的でつぎはぎだらけの対策に追われています。今後、南伊豆健康学園の質を維持し、子どもたちが元気と自信を取りもどす教育の取り組みを求めます。

9.教育委員会の独立性
   最後に、教育委員会の独立性の問題についてです。山田前区政による教育への政治的介入と独善的な思想をおし付けるやり方は、教育委員会の独立性を重視する新区長のもとで改善されつつあります。しかし、前区長がつくる会教科書を採択するためにのみ任命した教育委員がいまだ委員長や委員にとどまり、ことあるごとに教育内容に「つくる会」や「教科書改善の会」の偏った思想をおしつけようとすることは見過ごすことはできません。委員には、ご自身の進退を含め、対応を求めるものです。


   以上の理由から、平成22年度杉並区一般会計歳入歳出決算、国民健康保険事業会計歳入歳出決算、老人保健医療歳入歳出決算、介護保険事業歳入歳出決算、後期高齢者医療事業歳入歳出決算に反対とします。
   沢山の資料請求にご尽力いただきました職員の皆さんに、お礼を申し上げ、意見の開陳を終わります。

 
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